彼女になりたかったの 私
12歳か13歳くらいの頃
テレビで見た
それはそれは輝かしい彼女
ピンクの美しいドレスで
とてもセクシーなボディを包んで
溢れる笑顔と
とても20代前半とは思えない貫禄と自信
そして
何よりもその歌声
声量も音の美しさも そして表現も
言葉は分からなくても凄さに圧倒され
今まで知らなかった
誰にもないその歌声に
まだ少女の私はすっかり魅了されて
「彼女のようになりたい
ううん
彼女になりたい!」
そう強く強く思った
それから
日本版より輸入盤のCDの方が安いから
全然読めない歌詞もそっちのけで
お金がたまると彼女のCDを探しに
CD屋さんに通った日々
いつしか
彼女になる夢は別の方向に向かっていったけれど
彼女の歌声はいつも私のそばにあった
彼女が出た映画の主題歌は
コピーなら自信ありってくらい
息継ぎのタイミングも
音をかぶせるところも
みんなみんな真似をした
カバーじゃなくて
コピーすることが私の喜びだった
彼女が結婚して
それからスキャンダルが多くなって
歳を重ねるうちに
美しさに陰りが出ることもあった
そんなときは
悲しくて苦しくて
彼女に失望することもあった
関心がないなら失望はしない
彼女がまた幸せを手にして
あの歌声を響かせてくれると信じていた
でも逝ってしまった
今日は
ラジオから彼女の歌がたくさん流れて
そのたびに涙があふれて止まらない
今日は
彼女のステージをテレビで初めて見た
グラミー賞の日
あなたが輝いたあのステージを私は忘れない
ホイットニーヒューストン
あなたがいてくれてよかった
あなたに出会えてよかった
大好きだな いまもあなたが
あなたが逝ってしまったことが
悲しくて悲しくて
仕方がないよ
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